また君と恋する
だけど、早瀬君が結大君のブラザーの襟を掴んで私との距離を引き離し、これ以上聞くな、とでも言いたげな雰囲気を醸し出したので深く問われることはなかった。

「ところであたしはどこの席だろう」

私以外の3人が座席表に目を向けた。

「あたしの前の席の空野って、結大君だね」

「ほんとだ。深丘ちゃんと前後の席。おっ、志希は由麻ちゃんと前後の席じゃん」

ピクリと早瀬君の眉が動いた。

私はこれ以上、早瀬君の反応を見るのが怖かったので視線を逸らした。

「前後の席同士、よろしくね」

結大君がどういうつもりでそう言ったのか分からないけど、屈託ない笑顔にとりあえず引きつった笑みを返した。
< 54 / 475 >

この作品をシェア

pagetop