また君と恋する
家の中をざっと見渡すとカウンターにそれらしきポーチが置いてあった。

「早瀬君。少しの間、虹心達をお願いしていいかな?」

「いいけど」

「お母さんの忘れ物を届けに駅まで行ってくるね」

それだけ言って、私はすぐに家を出た。


「あっ、由麻ちゃーん」

「ハァハァ……。お願いだから、早く、返信して……」

息を整えぬ前に、駅で待っていた母にポーチを渡す。

「ごっめーん。もうお願いしたと思ってて。ありがとう」

「うん。仕事、頑張って」

「いってきまーす」

お母さんを見送って、私は来た道を引き返す。
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