また君と恋する
彼女達の会話に乾いた笑いしか出てこなかった。

「すいませーん」

その声が私達の会話を遮る。

声の主はキャリーケースを引いたスーツ姿の女性。年齢は30代くらいだろうか。

キャリアウーマンのような佇まいでカッコ良さがあるものの、何となくキャッチセールスと疑いたくもなる。

それも穏やかな顔をして────

「スマホ貸してくれません?」

なんて言うから。

「えっ、やばくない」

「こわっ」

「逃げよ」

ボソボソ呟くりっぴ達を横目に、私はとりあえず目的を聞いた。

「どうかしましたか?」

「それが、スマホの電池が切れて目的の場所までの道のりが分からないんです」

「どこに行きたいんですか?」
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