また君と恋する
「よしっ。じゃあ早速、志希を呼んでくるわ」

「はえっ? 今からですか!?」

「もちのろん! 善は急げよ!」

陽気に去っていく真白さん。

たった1人。だだっ広い部屋に残された私を、テレビの音だけが救ってくれる。

『あなたが犯人ですね!』

ドラマも佳境を迎えたのか、若い男の刑事がエリートそうな眼鏡の男性に『お前が犯人だ』と吐き捨てるシーン。

耳にも目にも情報は入っていて頭でも内容は理解しているつもりなのに、どうしてか心臓がバクバクと激しい音を立てる。

まるで私が犯人だと言われたような。

違う。ドラマを観ているつもりでも、心は愛し人を待っているんだ。

告白しようと相手を呼び出し待っている気分。

実際はそんな状況になったことないし、早瀬君に告白した時は“つい思わず”だったんだけど……。
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