ライラックの恋
蒼「久しぶりに家に寄ってく?」
そんな蒼太の誘いを断る理由はなく、頷いた。
多分、朱生も今の時間なら家にいるよ。
そう教えられたのは、到着寸前で久しぶりに朱生に会えるな、なんて考える。
『入学祝いにお菓子でも買ってくればよかったかな。』
蒼「ん~?
多分、紫乃がおめでとうって言うだけで朱生は喜ぶよ。」
『えー?朱生ってそんなタイプだっけ?』
相変わらず手を繋いだまま、2人で朱生の話をする。
さながら、兄と姉って感じ。
蒼「...紫乃が思ってるより、朱生は単純だよ。
昔からね。」
『...そっか。』
時々、蒼太は有無を言わさない雰囲気を出す時がある。
怖い、とかではなくて...
元々芯が強い人だからなのかもしれない。
蒼「ん?どうかした?」
あ、戻った。
『...ううん、いっぱい朱生のこと褒めようって思って!』
繋ぐ手にほんの少し、力を込めながら答えた。
蒼「うん、そうして!」
大げさじゃなく、物心ついた頃から蒼太が好きだった。
優しくて、ふんわりした雰囲気。
でも、頼りないわけじゃない。
肩肘張らずに、緩やかに。
でも、歩く速度は決まってる。
そんなきちんと自分を持ってる人。
高校が違ったら、単なる幼なじみじゃどんどん距離が出来てしまう。
それが怖くて、中学3年になる直前
私から告白した。
今でも忘れない。
「高校生になったら、
俺から告白しようと思ってた。」
そう、言ってくれて
なにそれ~って言って泣いた。
幼なじみから、恋人になって今年で4年目。
この先も、ずっと一緒にいたい。
そう、思ってた。