花筏に沈む恋とぬいぐるみ
巡り巡って雅は病気により亡くなった。
それが運命なのか、巡り合わせなのか。そんな事はわからない。けれど、それだけは変わらない事実なのだ。
けれど、巡り合わせはきっと行動により変わっていくのだろう。そう思えば、雅の供養も凛の体もきっと無事に終わる奇縁があるだろう。
花はそう思えた。
「四十九日の奇の魂を成仏させる方法は燃やす。それ以外は私は知りません。ですが、1つだけお2人にお伝えしておきたい話がございます」
「え、それは何ですか?」
「少し前ですが、私の依頼主様の四十九日の奇の魂が、他のモノに変わった方がいらっしゃったのです。確か、万年筆から花へと」
「そんな事が」
「それって何がきっかけだったんですか?」
焦った様子で早口のまま凛は一堂に問いかける。
そして一堂がそれを口にした瞬間、花と凛は同時に口を開いた。
「それです!」
「それだ!」
「え、で、ですが、……これは確実な方法ではなくて……」
「でも、やってみる価値はありそうです。それに他に方法が浮かばないのですから」
「そうだな。となれば、すぐに帰って準備するしかないな」
「そうだね。一堂様。助言、ありがとうございました。またこのお礼はさせていただきます」
花は先程の一堂と同じように深く頭を下げた後、凛の体を抱きしめながら急いで離れを後にした。
その様子をぽかんとして見送った一堂だが、しばらくしてクスクスと笑った。
「成功する事をお祈りしております。乙瀬様、凛様」
その応援の言葉は、2人の耳に届かなくとも気持ちは届くはずだと、一堂は声に残したのだった。