花筏に沈む恋とぬいぐるみ
「凛……少し休んだ方がいいよ。体、心配……」
「あ、あぁ。大丈夫だ。眠くないんだ……」
「体を横にするだけでもいいから。疲れてたらそのまま寝てしまえるし」
「そう、だな……」
凛はよろよろと立ち上がり、そのまま2階への自室へと向かった。花に「おまえも泊まっていけ」と、花に雅の部屋で寝るように伝えた。
花が今まで泊めて貰っていた部屋は、雅の部屋だった。随分と片付いているので大分使われていないかと思っていたが、きっと四十九日の奇で戻ってきた雅が、片付けたのだろう。その部屋を最後まで花に貸してくれていたのだ。それを知ると、申し訳ない気持ちになる。
布団に横になり、花は大きく息を吐く。
先ほど、雅がこの世から本当にいなくなってしまった。
それを思い出してしまうと、自然と視界がボヤけてしまう。
寝れるはずがない。
花がフィオを抱きしめたまま呆然と外を見つめる。そういえば、カーテンを閉めていなかったな、と立ち上がり窓の方へと向かう。すると、そこからは先ほどは雲に隠れていた月が顔をだしていた。少しだけ欠けているが、まるいお月さまだった。
雅はどれぐらい遠くにいってしまったのだろうか。まだ月で見ているのだろうか。そんな事を考えて手を伸ばした。