花筏に沈む恋とぬいぐるみ
30話「消えないメッセージ」
30話「消えないメッセージ」
★★★
生き物全て、いやこの世に作られたモノの全ての終わりというものは喪失はあまりに唐突だ。
丁寧に作られた硝子細工のグラスも割れてしまえば、捨てるしかない。どんなに大切にしていた自転車だって使い続けていればいつかは壊れて破棄をする。バックにつけていたマスコット人形も気づいたらどこかに落としてなくしている。
終わりは予想するしない関わらずにやってくるのだ。
生き物の死もそうだ。余命宣告される時もあれば事故や病気で突然死んでしまう。
あっけなく、生きていた事が嘘のように目の前からいなくなるのだ。
「ごめん……俺、もう長くないらしい」
突然入院した雅の口から、終わりを告げられた。
感情を押し殺し、何とか微笑もうとしている雅。
そんな雅を見て、凛は何故か怒りがわいてくる。そして、「そんな嘘つくなよ……!」とその時は言ってしまい、あいつが傷ついた顔で「本当なんだよ、ごめん」と言わせてしまった。
そんな事を言わせたくはなかった。
何て言えばいい?こんな時、雅を悲しませないために何と言えば……。
そのまで考えて、気づいてしまう。
どんな言葉をかけても、雅を救える言葉はないんではないか。