花筏に沈む恋とぬいぐるみ
4話「お金より欲しいもの」
4話「お金より欲しいもの」
「四十九日の奇って。乙瀬さんは、誰か親しい人が無くなったばかりなのかい?」
四十九日の奇。
人間は、死んだ後四十九日感、この世に留まっているという。もちろん、肉体は滅んでいく。魂だけが残るのだ。普通ならばその魂はこの世の漂うだけで、普通の人間には見える事はない。けれど、生きる人々は四十九日間は近くに居ると、安心する。思っているだけでも気持ちは落ち着くはずだった。
が、『四十九日の奇』はそれと少しだけかたちを変える。
魂がこの世に残るのは同じだが、その魂がモノに宿るのだ。その魂が生きていた頃に大切にしていたモノや心残りや心配事、愛しい人とあと少しだけでも共にいたいという思いから、魂が望むモノに気持ちが宿る。
そして、その魂が自由に言葉を発したり、動いたりするという事例も確認されていた。もちろん、ただモノに宿るだけで何も動かずじっと時間を過ごし魂もいる。
その『四十九の奇』の魂は、もちろん49日間だけ留まるのが普通だ。
だが、その49日間の間に、そのモノを供養するとあの世へと迷わずにいけると言われているのだ。
そのため、大体が死後49日だけ見られる奇跡なのだ。
だから、凛はそう質問してきたのだろう。
だが、それは違っていた。花はゆっくりと頭を横に振り否定する。