花筏に沈む恋とぬいぐるみ
2人の声が聞こえ、花はすぐに視線をクマ様へと向けた。
すると、クマ様が花の作ったドレスを着て、くるくるとその場で回ったり、裾をあげたりしてまるでモデルのように凛に見せている。凛もノリノリで、スマホを取り出して動画を撮影している。
始めは拒んでいたクマ様もわりと楽しんでいるようだった。
そんな様子と、ドレスがぴったりだったのに安堵して花も写真や動画を撮ったりしている。
「細かい部分は修正が必要だけど、大体はこのままでも売り出せるな」
「そうだね。タグ付けたり、着脱しやすいようにもっとボタンつけたりね」
「……売るつもりなんですか……」
「花ちゃんさえよければね」
「でも、そんなに沢山作れないですよ……これだって1週間ぐらいかかったし」
「ハンドメイドなんだ、それは仕方がない。花浜匙だって、そんなオーダーしてもらって完成するのは時間を貰ってるよ」
「とりあえず、SNSだな。載せて反応みてみよう」
「あ、それいいね!」
「………本当に自分が作ったものが販売出来るの?」
やる気満々で花よりも自信をもって話しを進める2人だが花は不安で仕方がなかった。
レース編みも本や動画で学んだだけの独学であったし、家族や友人にあげるぐらいで、全く自信がなかった。心配な声を上げると、クマ様はずいっと自分の体をしゃがんでいた花に近づけてくる。