花筏に沈む恋とぬいぐるみ
20話「明け方の会議」
20話「明け方の会議」
「問題は、この体を燃やせないって事なんだよね」
薄手のカーテンが少し明るく染まっている。
朝日が顔を出し始め、残酷にも1日が終わりを告げた。
徹夜でレース編みをし夜明け前に凛の衝撃の事実を知ったせいか、花はまったく眠さを感じなかった。
凛だと思っていた彼は、凛の体に入り込んでしまった四十九日の雅という男性だった。
そんな雅が、そんな不安を口にした。
「それって、あ、そうか………」
花は雅から貸してもらったハンカチで涙を拭きながら、返事をするが話しながらその疑問にすぐに気づいた。
四十九日の奇で魂が入ったものを、供養のためにそれを燃やさなければいけないのだ。それが、その魂が無事に成仏できる方法だと言われているからだ。
しかし、雅が入ったのはモノはものでも生身の人間だった。その体を焼くという事は、その人間である凛の体を燃やす事になるのだ。そうなれば、魂はテディベアの中にある凛だが、体がなければ生きているとはいわないだろう。
それはすなわち死んでしまうという事だ。
「凛の体を燃やすわけにもいかないから、俺はクマ様みたいにテディベアに体を移して、この店をうろうろしててもいいと思ってるんだけどね」
「そんなのダメに決まってるだろ!雅は早く成仏しろ」
「って、凛は言うんだよね。別にいいのにね……」