花筏に沈む恋とぬいぐるみ



 何も知らなかったとはいえ、雅のことを出会ってすぐに怒鳴ってしまった事を思い出して、花は顔を真っ赤にして謝った。クマ様の考えを邪魔してしまい、そして何もしていない雅を怒ってしまったのだから。
 浅はかな自分の行いを今更後悔しても仕方がないが、昔の自分を止めてあげたい。

 けれど、どうして川に流す事が雅の供養になるのか。花は少しも理由がわからなかった。
 凛は独自に四十九日の奇について調べていると言っていたのだ、何かわかっていたのだろうか。

 「凛さん。川に流すのは、四十九日の奇の魂を供養する方法の1つだったの?」
 「いや。違う、あれは失敗だった………」
 「え……」
 「よく三途の川とか言うだろ?だから、花衣に乗てながせばあの世に行くかなって。流し雛とかもあるだろ?」
 「…………でも、クマ様があの世に行っちゃだめなような。それに流し雛って身の穢れを川の水で流して清めるんじゃなかったっけ?」
 「だから、俺は反対したんだけどね。もし川に流すなら凛の体で流す方がいいんじゃないかって。でも、凛はやるってきかなくてね」
 「仕方がないだろ。それ以外方法が思いつかなかったんだから」


 凛は自分なりに調べて、雅の魂を救う方法を探すのに必死だったのだろう。
 2人の様子を見ていれば、とても仲がよく友達だけの関係ではないのが伝わってくる。お互いに大切にしている、仕事の同僚だけではに関係だったはずだ。
 だからこそ、凛はテディベアの体に魂が入ってしまっても、雅のために必死になっているのだろう。



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