極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
プロローグ
これはきっとなにかの間違い。
夢でも見ているか、行き過ぎた妄想だ。
美羽は信じられない想いで、すぐ目の前にある美麗な男、翔の顔を見つめ返した。
(なんでそんな目をして私を見るの?)
ベッドに彼女を組み伏せた彼は、今まで見せたこともないような切実な目をしていた。
「美羽、キミを抱きたい」
囁く声が熱を孕み、静かな部屋に溶けていく。
(どうして――)
疑問を抱かざるを得なかった。
翔は美羽の夫である。夫婦なら体を重ねるのは自然なことだろう。
でもふたりは、いわゆる普通の夫婦ではない。近々離婚を控えた、紙切れ一枚で繋がっているだけの契約夫婦なのだ。
「嫌だったら俺を突き飛ばせ。五つ数えるうちにそうしなければ……抱く」
(そんなっ……)
最後の言葉に美羽の鼓動が跳ねる。
煽情的な眼差しをした翔は、美羽に決定権を委ねた。
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