極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
オーシャンエアラインきっての凄腕パイロット、本郷翔だったのだ。
三十二歳の副操縦士、通称コーパイだが、機長になる日も近いともっぱら噂の超エリートである。
中学高校と陸上で鍛えたという体躯はほどよく引きしまり、切れ長の目に鼻筋のとおった端正な顔立ちは空港内でひと際目を引く存在。
彼が制服姿で歩けば誰もが見惚れ、吸い寄せられるように視線が釘付けになってしまう。羨望の眼差しを向けずにはいられないのだ。
事実、今の美羽も彼に顔を向けたまま思考が一時停止した。
美羽の隣に立ち、翔が真っすぐ前を向く。
高い鼻梁から唇、顎から首筋にかけてのラインは見事なまでの調和美。これ以上の美しい顔立ちはほかにないのではないかと思わせた。
(素敵……)
美羽の視線の隅に飛び立つ飛行機が見え、それを背景に立つ翔の姿はまるで航空会社のポスターだ。絵になり過ぎて言葉も出せない。
「こんなところでひとりで食べて寂しくないのか?」
「へっ?」
ポスターがしゃべった!とまでは思わないが、いきなり話しかけられて変な声が出る。間抜けな声は女性らしさのかけらもなかった。