極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
聞き返した美羽に、萌子がピザを頬張りながら頷く。
「一時的に楽しいと思える人はたくさんいるけど、離れたらすぐにでも会いたい、寂しいって思える人は本当に大切な人だからって」
美羽の頭をふと過ったのは昨日、翔を空港で見送ったときのことだった。
(たしかに寂しいなって思ったけど……。でもそれは、いるのがあたり前になっているからだよね?)
自分に聞いてみても、心は深い霧の中。真っ白に霞んではっきりしない。
寂しいと感じたのはきっと、偽物夫婦なのに翔が妻のように扱うから。心が勝手に本物の夫婦だと錯覚を起こしてしまっただけだ。
これ以上近づくのは危険。
警告音が鳴るのを感じながらフォークにパスタを巻きつけていたら、萌子がバッグからなにやら錠剤らしきものを取り出した。
「薬? 萌子、どこか具合悪いの?」
「ううん、レディースデーだから痛み止め。朝飲んだけど効果が切れたみたいで」
お腹をさすって沈痛そうな表情を浮かべる。
「そっか。お大事にね」