極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
二度目の夜はキスで明ける
この妊娠は、絶対に知られてはならない。
処女を奪ったくらいで責任を感じる翔のこと。彼の子どもを身ごもったなんて知ったら、それこそ全力で離婚を阻止するだろう。
そこに愛はないのに、このまま結婚を継続させるわけにはいかない。
翌日の夕方、仕事を終えて帰宅すると玄関に翔の靴があった。彼が機長を務めた十三時着の便は定刻通り。美羽より早く帰っているのはわかっていたのに、靴を見て会えるうれしさに鼓動が乱れる。
(もう……だからどうしてそうなるの)
勝手な動きをする胸をトントンと叩き、少し黙っていてと宥める。
しかしそれとは真逆に、妊娠した事実を隠さなければならない使命感に緊張も走った。
きっと部屋で休んでいるだろうと静かにリビングへいったら、翔はダイニングでコーヒーを淹れているところだった。いい香りが立ち込めている。
「おかえり、美羽」
「た、ただいま。翔さんもおかえりなさい」
「ただいま」
長時間のフライトを終えた後とは思えないほど爽やかな笑顔を向けられ、言葉がつかえる。頭の中では〝妊娠〟の文字がぐるぐると回っていた。