極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

宣言した瞬間、翔はパッと顔を輝かせた。

妻らしく振る舞おうというつもりはない。ただ、フライトで絶対的に疲れがたまっている翔を休ませたかった。


「それはうれしいね」
「あまり期待はしないでください」


翔が今日帰ってくる予定のため、じつは昨夜のうちにローストビーフを仕込んでいた。
なにかしていないと妊娠にばかり気がとられ、にっちもさっちもいかなくなる。気を紛らわせるために料理に打ち込んでいたのだ。


「美羽が出してくれるものならなんだっていい」
「納豆でも?」


わざと意地悪で言ったら、翔がさらにその上手をいく。


「卵かけご飯でもいい」
「本気でそうしちゃいますよ?」
「いいよ。美羽が出してくれるものなら全部ご馳走だ」


この人はいったいどこまで夫婦らしい演技をするつもりだろう。新婚ならではのセリフにどぎまぎさせられ、上手な切り返しができない。
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