極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
「一応ね」
「ごめんなさい!」
いくら仮面夫婦とはいえ夫の誕生日を知らないなんて失礼極まりない。
「気にしなくていい。祝うような歳でもないし」
「だけど、なにも用意してなくて……。あっ、だから食事に行こうって」
ハッとして口を押さえる。
高級ホテルや一見さんお断りの料亭で、豪華にディナーを食べたかったのかもしれない。それなのに半ば強引に自分の手料理を押しつけてしまった。それも高級料理とは程遠い料理を。
「そういうわけじゃないよ。美羽の手料理のほうが俺はいい」
美羽を気遣った言葉にほかならない。
今日誕生日を迎えた人に気まで使わせてしまった。
「なんだかほんとにごめんなさい。明日ケーキでも買ってきます」
一日遅れでも、なにもないよりはいい。