極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
「私は飛行機を操縦したいのではなく、機体を愛でたいんです」
「機体? 動かすほうじゃなくビジュアルか」
不意に翔が制帽を取る。瞬間、黒髪が風に吹かれてさらりと揺れた。髪の毛の一本まで美しいとは罪だ。
「広い空を真っすぐ飛ぶ姿はもちろんですけど、離陸した瞬間の微妙に揺れる感じとか。機体のシャープなラインは見ているだけでドキドキしますし、とにかく飛行機のすべてが好きです」
何時間見ていても飽きない。本音を言えば、ランチタイムの一時間でも足りないくらいだ。
寒さで手がかじかんでも暑さで汗が噴き出しても、美しい飛行機を見られればそれだけでいい。
「一番好きな機体は?」
「ゾーイングG737です」
「すんなり出てきたな」
ふっと翔が破顔する。
「ついさっきも離陸を見送ったところなんですが、スリムな機体と主翼のバランスは最高です。一番美しい旅客機ですね。それに……」