極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

甘さを秘めた声色で呼ばれ、胸の奥がきゅうっと詰まる。なにも返せず、ただじっと動かずにいたら、もう一度同じように呼ばれた。

翔の手が髪を撫で、そこから頬へ移動する。優しく導かれるようにして顎を持ち上げられ、彼の顔が近づいてきた。


「キスくらいは許せ」


答えるまでもなく唇が重なる。
強引なのに嫌じゃない。それよりもむしろうれしいと感じるのはどうして。

夫婦ごっこの世界に入り込み、役柄になりきってしまったのか。

合わせていた唇が熱を持つのは必然。彼の舌は呆気なく侵入を果たし、美羽の口腔内を蠢きはじめた。
ゆっくりと焦らすように舐め回され、唇の隙間から吐息が零れる。それも単なる息漏れどころではなく、鼻にかかって甘い。

翔は胸の前で所在なさげにしていた美羽の手を自分の背中に回させた。
密着度が高まり、胸の高鳴りも増していく。キスの合間に漏れる吐息の熱さに目眩を起こしそうだ。

(あと何分こうしていられるのかな……)

言葉を交わさず、ただキスだけにのめり込む。翔のパジャマをギュッと握り、彼の舌によって与えられる刺激にひたすら溺れた。
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