極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

このままずっと……。
そう願ったそのとき、不意に彼がキスを解く。

午前〇時。ベッドサイドのデジタル時計がそう指し示していた。


「約束の時間だ」


まるで死刑宣告でもされたような気がした。これ以上一緒にはいられない。

そう突き放された感じがして、ひどく悲しいのはなぜ。

そんなの簡単だ。もっと一緒にいたいから。このままここに彼といたいから。

夫婦ごっこの妻という役柄が憑依しただけなのかもしれない。翔の色香に惑わされて、場の雰囲気に流されているだけなのかもしれない。

でも、そばにいたいという想いは誤魔化しようもなかった。

翔の腕が美羽を解放する。


「今すぐ俺から離れないなら、ここから帰さない」


思えば美羽はいつも、翔にふたつの選択肢を与えられてきた。
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