極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

「それならいいけど。具合が悪かったら言ってね」
「ありがとう」


萌子の優しい言葉に笑い返し、気を引きしめなおす。

午後一番の大阪行きは、ビジネスマンの多い午前中の便のような慌ただしさはない。

乗客の搭乗がはじまるおよそ四十分前、ブリーフィングを終えたクルーたちが歩いてくるのが見えた。
その先頭を歩く人物が誰なのかを認識する前に、心臓が先に反応する。自宅でスタンバイしているはずの翔だった。

キス止まりとはいえ一緒に朝まで過ごした日から三日、美羽は颯爽と歩く彼の姿に釘づけになった。


「あれ? 大阪便、本郷さんが乗るのかな」


萌子が手元のパソコンを操作して状況を確認する。朝一で確認したときには翔の名前はなかった。


「あ、機長が体調不良で交代したんだね」


モニターをチェックした萌子は、搭乗クルーの中に翔の名前を確認したようだ。

ゲートまでやって来ると、翔はコーパイ以下CAたちに先を譲り、足を止めた。
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