極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
同期の友達には〝またはじまった〟と呆れられるため、こんな話をできる人は社内にはいない。水を得た魚のように目を輝かせてほかの機体についても力説する。
自分なりのランキングなんてものまで披露した。
「よほど好きなんだ」
「はい!」
小学生か!と自分で突っ込みたくなるほど元気に返した。グランドスタッフのエレガントな制服を身に着けているのに、ちぐはぐな言動もいいところ。好きなものの話をするとついはしゃぐのは、小さな頃から変わっていない。
彼もやはり子どもっぽく思ったのだろう、ククッと肩が揺れる。普段は真剣な表情をしていることの多い翔が、ふとやわらかい表情になった。
(そんな顔もするんだ……)
凛々しい顔つきはもちろん素敵だが、やわらかな表情もまた魅力的である。
「本郷さんはどうしてこちらへ?」
「子どもの頃、俺もここからよく飛行機を眺めたから懐かしく思ってね。大人になってから見てもやっぱりカッコいいな」
「ですよね。大きな機体がターミナルビルからゆっくり離れていく様子とか、エンジン音の力強さとか、とにかくすべてがカッコいいです」