極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
「この便、本郷さんに代わったんですね」
「急きょ任されたんだ」
萌子の言葉に翔が返す。
翔と美羽たちをチラチラと横目で見ながら、クルーたちが機内に乗り込んでいく。どこにいても注目の的である翔がそばにいるときほど、居心地の悪いものはない。彼が誰と話したかという情報は、またたく間に広がるからだ。それが女性ならなおさら。
「それじゃ、乗客のアテンドをよろしく」
「お任せくださいませ!」
元気よく答える萌子の隣で、美羽は会釈だけした。顔を上げたときに翔と目が合い、ぎこちなく逸らす。
その背中をぼんやりと見送っていたら、萌子に肘で小突かれた。
「やっぱり本郷さんって素敵だよねー。彼の乗る便の案内だと思うと、俄然張りきっちゃうなぁ」
萌子はご機嫌な様子で搭乗アナウンスの準備をはじめた。
彼にとってこの結婚は、あくまでも本当の結婚回避のため。一度目の過ちも、二度目にキスで明けた朝も、かりそめの夫婦の間に起きたハプニングのようなもの。