極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

同調してもらえたうれしさから力んで返したため、膝の上に置いていたお弁当箱を落としそうになった。
こんなふうに飛行機の魅力について語り合うのは、父親以外で初めてかもしれない。


他愛のない飛行機のうんちくやコックピットから見える景色の話をしながら、時間があっという間に過ぎていく。
それは、憧れのパイロットと飛行機について話すという貴重な時間だった。

不意に翔がハッとしたように腕時計を確認して立ち上がる。美羽と同じように会話を楽しんでくれていたのだとしたらうれしい。


「あまり夢中になって休憩時間をオーバーしないように」


翔がわずかに目を細めて美羽を見る。注意というよりは冗談交じりの口調だった。


「はい、気をつけます」
「じゃ、俺は行くから」


これからフライトだろうか。美羽は座ったまま頭を軽く下げ、展望デッキから立ち去る彼の背中を見送った。

(挨拶以外でしゃべっちゃった……)

最初こそ緊張したものの、抱いていた印象ほど近寄りがたい感じはなかった。
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