極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

グランドスタッフとして従事する美羽は現在、国内線のチェックインカウンター業務、ゲート業務、ロビー業務を担当している。

日によりローテーションが組まれるが、空港へ来たお客様が最初に顔を合わせるのがグランドスタッフのため、よりよいおもてなしをできるよう日々奮闘中である。

オーシャンエアラインの空席状況や搭乗口番号、運行情報がひと目でわかるモニターと、航空券の販売、座席指定や手荷物受託などさまざまな操作を行うモニターの二台を見ながら、美羽はカウンターにやって来るお客様に対応していた。
 
グランドスタッフがお客様と接する時間は搭乗予定のお客様を機内まで案内し無事離陸するまでと、着陸後に空港から出るまでと、とても短い。その限られた時間に相手が望んでいることを引き出せるかどうかが、この仕事のやりがいであり難しさでもある。


「大変お待たせいたしました」


笑顔で出迎えた美羽のカウンターにやって来たのは、五十代の男性客だった。チケットを確認すると、福岡への便で予約は十六時十分。まだ十三時だから、このあと三時間もある。

(もしかしたら、もっと早く福岡に行きたいんじゃないかな)

咄嗟にそう考えた。
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