極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

会社の人たちになんと思われるか。ここまでふたりの関係は秘密にしてきたのに、あと少しのところでバレたら元も子もない。


「べつの航空会社ならいいだろ」
「うちじゃない、飛行機?」
「そう。マークパシフィック航空。それで美羽の気持ちが済むなら」


翔が妥協案を提示する。
現金にもうれしい気持ちと、この先に訪れる別れを思って悲しい気持ちがないまぜで複雑だ。

(だけど妊娠中って飛行機に乗っても平気なのかな)

べつの不安も頭をかすめる。


「少し考えさせてください」
「俺の希望は叶えてくれるって言ってなかったか?」
「そうなんですけど、シフトのこともありますし」


そう言われるととても辛いが、もっともらしい理由をつけて結論を先延ばしにする。


「わかった。休暇を取れるよう前向きに検討してみて」
「はい……」


食べはじめた翔は「どこへ行こうか」と楽しそうだった。
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