極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
思いがけない告白
離婚を回避すべく、美羽に『振り向かせる』と宣言してから二カ月が過ぎた。
たった一度とはいえ、美羽は翔に体を許している。少なからず好意を抱いているだろうという目論見は見当違いだったのではないかと、このところの翔は鬱々とした毎日を送っていた。
いくら近づいても、キスをしても、彼女にはどうにも取り払えない壁がある。
最近は食事もまともに一緒にとっていない。なにかと理由をつけては避けている節があり、振り向かせるどころか離れていく感じすらあるのだ。
彼女の誕生日に誘った旅行も、あまり乗り気ではない様子。シフトを理由に断るつもりではないかと気が気でなかった。
香港から帰国し、デブリーフィングを終えた翔がオフィスから出ると、そこに美羽の姿を見つけた。社内で内緒にしていることを忘れて駆け寄ろうとした足を止める。
「藤倉さん、今日こそご飯に行きましょうよー」
いつも美羽にちょっかいを出している桐谷が一緒だった。
「何度誘われても行きません」
「そう言わずにー。藤倉さんがコントローラー業務に就くようになってから仕事はべつだし、全然話すチャンスないんですもーん」