極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

「すみません、ありがとうございました」
「その前に、なにかひと言ない?」


美羽は、なんだろうという感じで目線を彷徨わせ、周りをチラッと確認してから「おかえりなさい」と小さく言った。


「では、私も仕事に戻りますので」


翔が引き止める隙もない。美羽も桐谷に負けない速さで翔から遠ざかっていった。いくら人目があるからといって、三日ぶりに会ったというのにずいぶんと素気ない。

憮然とした表情で突っ立っていたら、兼平に声を掛けられた。


「利害の上に成り立った結婚じゃなかったか? そんな関係でも嫉妬ってするもんなのかねー」


たった今目にしたばかりの光景をおもしろがるような笑顔にイラッとする。美羽につれない態度をとられたせいもある。


「誰が嫉妬だって?」
「本郷くん、キミですよ。ところで昼飯は食べた?」
< 181 / 283 >

この作品をシェア

pagetop