極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
人差し指でリズムを刻むように、翔の胸のあたりを何度も突く。
「今、香港から帰ったところだ」
「なら付き合ってくれ」
翔の返事も聞かず、手で〝ゴー〟というサインをして歩き出す。
「強引な男だな」
「本郷に言われたくない」
悪態をつき合いながらふたりが向かったのは、空港内に店を構える老舗そば屋だった。
昼時をとうに過ぎた店内は人の姿もまばら。翔たちは店の奥のふたり掛けのテーブル席に向かい合って座った。
揃って鴨南蛮そばを注文し、出されたお茶で喉を潤す。
「それで離婚に向けた今の心境はどう?」
「離婚はしない」
翔がそう答えた瞬間、兼平は眉を上げ下げして、からかうように口笛を吹いた。