極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

手をひらりと振って謝るが、〝一円を笑う者は一円に泣く〟みたいな言い方もやめてほしい。


「冗談抜きで、とにかく愛を伝えること。これに尽きるね」
「兼平がそんなに甘い男とは知らなかった」
「俺は甘いよ? 百合香にはとことん甘い。とにかく毎日〝好きだ〟〝愛してる〟ばっかだ。言葉にしないものは絶対に伝わらないからね」


至極当然のことを翔はできていなかったのだ。
これまでの経験がなにひとつ役に立っていない。つまり翔は、恋愛初心者も同然なのだ。

(情けなくて笑えてくるな)

あまりにも滑稽すぎて鼻を鳴らす。


「とにかく自分の気持ちを言いまくる。これに尽きるよ」


言葉に勝るものはない。たしかにそうだ。
思えば翔は美羽に、自分の気持ちをはっきりと伝えていない。ただ離婚をやめようとだけでは彼女の気持ちを動かすことなどできないだろう。


「お待たせいたしました」
< 185 / 283 >

この作品をシェア

pagetop