極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
店員が運んできた蕎麦を前に「いただきます」と揃って手を合わせる。
「そういえば」
割り箸を割って、ひとつ思い出したことがあった。
「百合香さんから俺の話をなにか聞いてないか?」
「百合香から? ……いや、べつになにも」
兼平は宙に視線を彷徨わせて考える素振りをしてから頭を振った。
「なんで?」
「最近、俺に対する態度がおかしいというか素気ない」
友人の妻というだけで特に親しいわけではないが、ビジネススマイルですら最近はどことなく硬い。挨拶も目を逸らしたままだ。
「なにかしたのか?」
「心当たりがないからお前に聞いたんだ」
「俺は知らないぞ。あとで百合香に聞いておくよ」
兼平はそう言って蕎麦をズズッとすすった。