極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

区役所で母子手帳をもらったときにバッグに付けるタイプのマタニティマークをプレゼントされたが、結婚も妊娠も内緒にしている美羽は当然付けていない。
そもそもそれを付けていても優先席を譲ってもらうことはめったにないと、プレママたちが集うネットの掲示板に書かれていた。それどころか嫌がらせを受けることもあるというから悲しくなる。

美羽の数メートル先を歩きながら、翔がチラチラと振り返る。ちゃんとついてきているか心配なのか、なんだか彼のペットにでもなった気分。犬みたいだ。

誰の目にも触れず、無事に彼の車に乗り込むことに成功したときにはホッと胸を撫で下ろした。

(よかった……)

しかし次の瞬間にはべつの危機が美羽を襲う。


「どこかで食べて帰ろう」
「えっ!?」
「えってなに」


早速突っ込まれた。


「あ、いえその……そうですね」


仕事帰りに捕まえられたら、夕食は済んでいるという嘘は通用しない。
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