極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

その夜、翔が作ってくれたのは〝冷やしネバネバうどん〟だった。
茹でたうどんにおくら、みょうがや大葉などの香味野菜、豚肉を乗せただけのさっぱりうどんだ。

翔と向かい合って座り、目の前に置かれた器をじっと見つめる。


「これなら胃もたれしてても食べられるだろ?」
「……はい」


そう答えたものの、最近の美羽の主食はゼリー。このところ食事らしい食事をとってこなかったため食べるのが少し怖い。
かといってせっかく作ってもらったものを食べないわけにはいかず、美羽は意を決し箸を持ち、恐る恐るうどんを口に運んだ。

ところが――。


「おいしい」


胃のむかつきで飲み込めないかもしれないという予想が見事に外れる。白だしの旨味と香味野菜のバランスが絶妙で、つるんとした喉越しもいい。
思わずまじまじと器を見つめる。


「だろう?」
「はい、本当においしい!」
< 193 / 283 >

この作品をシェア

pagetop