極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
ところがその直後、美羽は翔の言い分が正しいことを痛感する。
彼は、ただでさえオーラのある男。「芸能人なんじゃない?」という声がすれ違う人たちから漏れ聞こえてきたのだ。おかげで悪目立ちしてハラハラする。
間が悪いことに今日のロビー業務は萌子が担当。彼女に見つからないようにコソコソする美羽の様子を見て、翔が笑いを堪えて肩を揺らす。
「もうっ、翔さんってばひどい」
囁き声でクレームを申し立てるが、彼は余計に楽しげにするばかり。
「悪い悪い」
謝る割にサングラスの奥で目が笑っていた。
変装しているとはいえ、ふたりでいるところを誰かに目撃されたら一大事。滞在時間をなるべく短くするために、搭乗アナウンスがはじまる頃に合わせて空港へやって来たふたりは、自動チェックイン機で手続きを済ませて、すぐにゲートに向かった。
「ちょっと待ってください。この座席、ファーストクラスなんですけど……!」