極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

チケットを見てはじめて気づく。翔に向かって突き出した。


「気に入らない?」
「そうじゃなくて、どうしてそんな高いシートにしたんですか」
「それ聞く? 美羽の誕生日だからに決まってるだろ」
「だからって……!」


チケットもホテルも手配は翔任せにしていたが、エコノミーだと信じて疑わなかった。
オーシャンエアラインの航空券だったら割引もきくだろうが、他社だからそうはいかない。

「大切な女性に快適な空の旅をプレゼントしたらいけないのか」
「大切って!」


あまり血迷わないでほしい。


「美羽が好きだと言ってるだろ」
「ど、どさくさに紛れてやめてください」


この頃の翔はおかしい。隙あらば『好きだ』と口走り、熱っぽい目で見つめてくるのだ。

美羽を好きになるために自己暗示をかけているようにしか思えず、どう反応したらいいのかその度に困惑して心がにっちもさっちもいかなくなる。
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