極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

「ほらほら、こんなところでイチャイチャしてたら、キミがもっとも嫌がる人の視線を浴びるだけだけだ」


イチャイチャしているつもりはないが、そう言われて周りを見たらたしかにチラチラと好奇の目が向けられていた。翔が目立つから余計だ。

隠れる場所もなく、翔に手を引っ張られてそそくさと機内に乗り込んだ。

他社の航空機ではあるけれど、ファーストクラスに足を踏み入れるのは研修以来。ゆったりとした座席間隔やオフホワイトのレザーシートは、やはり特別感がある。

ワクワクしながら座ったら、ほどよいホールド感に思わず「わぁ」と声が漏れた。


「さすがファーストクラスですね」


ついはしゃいで声が弾む。


「エコノミーじゃなくてよかっただろ」


翔がいたずらっぽく目を細めるものだから決まりが悪い。ファーストクラスなんて!と抗議したのはほんの数分前なのにあっさり懐柔されてしまった。
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