極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

「もうサングラスも帽子も外していいだろう?」
「はい」


CAの目があるため本音を言えばそのままでいてほしいが、狭い機内でそれは酷だ。もしも翔の存在に気づかれたとしても、仕事中の彼女たちはスルーしてくれるだろう。

外から機体を眺めるのが好きな美羽でも、久しぶりの搭乗はやはりワクワクする。飛び立つ前の微かな緊張感は心地いいほど。当日に体調が悪くなったらどうしようかと不安に思っていたのが嘘のようだ。


「なんかやけにうれしそうだな」
「久々の飛行機なんです」


機内に響く飛行機特有の音や漂う空気は、新幹線や車とはまったく違う。これから高度何万メートルもの彼方まで飛ぶのだと想像して、気分が高揚する。


「それじゃ楽しんでいこうな」


ポンと頭を撫でた翔に眩しいほどの笑顔を向けられ、気持ちがさらに弾んだ。

ほどなくしてシートベルト着用のサインがつき、飛行機が滑走路に向けてゆっくりと動き出す。天気は曇り。空は薄いグレーの雲を抱えている。
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