極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

(水平飛行に入ったのに、そんなに揺れるもの?)

漠然とした不安を覚えつつ窓の外を見たが、白い雲に覆われてなにも見えない。


「どうしたんでしょうね」
「ああ」


揺れたのは一度きり。きっとたまたま、なんでもないだろうと思いなおしたが、それからしばらくしてCAが忙しない様子で通路に出てきた。


「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか?」


ドラマや映画などで観たことのあるセリフを言いながら、シートの乗客に声を掛けていく。


「急病人ですか?」


通路側に座っていた翔が、そのうちのひとりを呼び止めた。


「機長が体調を崩しまして」


彼女の言葉に愕然とする。
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