極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
そう言ったのはほかでもなく翔だった。
CAが訝るように翔を見つめ返す。
「オーシャンエアラインの本郷です。この機体のライセンスなら持っています」
翔はいつも携帯しているライセンスを取り出して彼女に向けた。
それを見たCAが目を見張る。
「やはりそうでしたか。もしかしたらとは思っていたのですが」
やはり翔の存在に気づいていたらしい。
「すぐに代わりますから、あなたは医者を探してきてください」
「ですが」
「緊急事態に迷ったり悩んだりしている時間はないはずです」
きっぱりとした強い口調で諭す翔の顔は、これまで見たこともないほど真剣だ。
彼女が宙に視線を彷徨わせたのはものの数秒だった。