極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
このままでは雷の中に突入することになってしまう。動揺を隠しきれない城田は操縦席で体を真横に向け、焦ったように翔の指示を仰いだ。
「落ち着け。とにかくキミは計器から目を離すな」
「は、はいっ」
「このまま通過するのは無理だ。積乱雲の上空を飛び越していこう」
「ええっ!? 上空を!? 飛び越していったら空港を飛び越えてしまいます!」
慌てた城田の声がコックピット内に大きく響く。
たしかにそうだが、決められたルートに縛られるばかりにあの雲の中に突っ込み、乗客の安全を脅かすことはできない。
「心配するな。計器を見ていてくれ」
管制官に連絡し、いったん高度を一万メートルまで上げることを要求する。北からではなく、南からの進入で那覇空港へ降り立とうと考えたのだ。
お客様の安全で快適なフライトという目標が達成されるのならば、そのための方法はフレキシブルに考えるのが鉄則。管制官にそのようにレーダーで誘導してくれるよう頼み、翔は真っすぐ前を向いた。