極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

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飛行機が那覇空港の滑走路にソフトランディングする。


「当機は無事、那覇空港に着陸いたしました。サインが消えるまではベルトをお締めになったままお待ちください。なお、スマートフォンなどの電子機器は……」


翔の機内アナウンスを遠くのほうで聞きながら、美羽は目眩と気持ち悪さでシートにくたりと体を預けていた。

しばらくして飛行機が完全に止まり、ほかの乗客たちが次々と降りていくなか、美羽ひとりだけそこから動けない。


「お客様? いかがされましたか? 大丈夫ですか?」


CAに声を掛けられて〝はい〟と答えたつもりが、声にならない。空気だけが口から漏れる。


「お客様?」


もう一度声を掛けた彼女の後ろで人の気配がした。
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