極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
処女を奪ったうえ子どもまで孕ませてしまい、引くに引けなくなったから。
「美羽がこのところ体調が悪かったのも、食欲がなかったのも妊娠してたからだったんだな。そんなことにも気づかないなんて、自分の鈍さに呆れるよ」
翔は顔を撫でた手で、そのまま髪をくしゃっとかき上げた。
「鈍いだなんて、言われなきゃ気づかなくて当然ですから」
「美羽が言えなかったのは、俺の気持ちをまだ信じられないからだろう?」
自分の気持ちを誤魔化そうとしているのではないかという指摘はできなかった。ほんの少しでも美羽に気持ちが向いているのなら、それにすがりつきたいズルイ想いも美羽の心の片隅にたしかにある。
「俺は美羽が好きだ」
「えっ……」
そう明言した翔の目はいつになく真剣だった。
心が揺さぶられ〝私も好き〟と口から出そうになったが、土壇場で奥へ引き返していく。どうしても拭い去れない〝責任〟の二文字が、美羽の心に根強く染みついていた。