極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

「他人の想いを大切にするよりも、自分がどうしたいかが大事じゃないのかな」
「私が、どうしたいか？」
「そう。だって本郷さんのことが好きなんでしょう？　その彼がずっと一緒にいたいって言ってくれてるのに、どうして逃げちゃうの？」


逃げているというひと言が、美羽の心に深く刺さる。まさにそうかもしれない。


「だいたい大人なんてみんな、なにかしら責任を負ってるものでしょう？　仕事に対する責任だとか、悟さんには私に対する夫としての責任や、子どもに対する父親の責任ってものがあって当然だし。それを負わせたくないっていうのは、ちょっと違う気がする。藤倉さんはもっと自分の想いを大切にしたほうがいいと思うな」


責任を感じないのは土台無理な話だと百合香が言う。

だとしたら、それも愛情の一部になるのだろうか。もしもそうなら、責任を負わせたくないと思うことは、相手に愛してほしくないというのと同じになる。

翔はこれまでに何度も自分の想いを精いっぱい伝えてくれてきた。それなのに美羽は〝でも〟と否定するばかり。翔の気持ちを受け止めようともしなかった。

妊娠を知ったときの彼が悲しそうな顔をしていたのは、美羽が黙っていたことに対する寂しさだったのかもしれない。