極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
バックオフィスに並んだパソコンの前に座り、各部からの情報を取集し運行上問題がないかの確認をするのが今の美羽の仕事である。
その情報には、手伝いが必要な旅客の情報、天候状況や飛行機の遅延、機体の重量バランス、機内食の数など多様なもの。
つい先ほどは、保安検査の締め切り時刻間際にカウンターに現れた旅客の搭乗可否の判断を行なったところだ。
いつもどおりに滞りなく進むかに思えた社内の空気が一変したのは、美羽がお昼休憩から戻ったときのことだった。
「バンクーバー発の便にエンジントラブルが発生したらしい」
耳を疑う話し声が聞こえたため、席を立ちその輪の中に飛び込む。
「バンクーバー発の便って」
「315便。本郷さんが機長を務めてる便だよ」
心臓を刃物でひと突きされたような感じだった。
「あ、あのっ、エンジントラブルって? そんな大ごとじゃないですよね? 機体は大丈夫なんですよね?」