極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

(フライトコントローラーがあれば大丈夫。……翔さんなら操れる)

兼平の強い言葉が美羽の気持ちを落ち着かせていく。


「あの本郷だ。このくらいのトラブルで終わるような男じゃない」


鼓舞するように美羽の肩をトンと叩き、兼平も航行状況を見守るみんなの輪に加わる。

到着予定時刻まで、あと三十分。乗員乗客ともにどうか無事で――。

(神様、お願い……)

今の美羽にできるのは祈りを捧げることだけ。お腹に手をあて、子どもと一緒に強く念じる。


「藤倉さん、体に障るから少しここで休んでいたほうがいいわ」
「でも仕事が」
「大丈夫、私に任せて」


今の美羽の状態では冷静な判断ができず、このまま業務に就いたらほかのエラーを引き起こす要因になる。それを見越して百合香は美羽とバトンタッチしたのだろう。


「すみません、よろしくお願いします」


美羽はその言葉に甘えることにした。
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