極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

およそ二十分後、オフィス内に漂っていた空気が一段と張りつめた。翔たちの乗った飛行機が、いよいよ着陸態勢に入ったという。

バックオフィスを出ていく人たちを美羽も追いかける。

いつも静かな展望デッキには話を聞きつけた人たちが大勢詰めかけていた。マスコミの姿もあり、リポーターがマイクを片手に興奮気味にカメラの前に立っている。

非常事態に備え、ターミナルビル前のエプロンには赤色灯をつけた消防車や救急隊の車が停車。すぐそこまで迫る春のうららかな陽気とは真逆の光景が広がっていた。


「あっ、見えたぞ!」


誰かの声につられるようにして空を見上げる。

一点の曇りもない青空の遥か彼方、太陽の光を浴びて小さくまたたいた白い光が徐々に大きくなり、機体の姿をはっきり捕えられた。

こちらに向かって真っすぐ進む様子に異常は感じられない。僅かに左右に振れているようにも見えるが、たぶん正常範囲内だろう。

大丈夫。そう自分に言い聞かせ、胸の前で手をぎゅっと握る。

ここまで戻って来られたのだから絶対に平気。
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