極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
見守るすべての人が無事にランディングできることを祈り、固唾を飲んで見つめた。
(翔さん、どうか無事に帰って……)
いったんほかの航空機の離発着を止め、地上ではいつなにがあっても対応できるようレスキュー隊がすぐに駆けつけられるよう出動態勢がとられている。
機体はどんどん降下し、車輪が出たのが見えた。
ジェットエンジンの轟音がぐんぐん近づいてくる。機体が接地するまで、あともう少し。
(お願い!)
緊張に震える胸の奥で強く祈ったそのとき、キュッとタイヤの軋む音が響く。
同時に美羽の鼓動もドクンと跳ねた。
バウンドしたり左右に揺れたりすることもなく、機体が滑走路に真っすぐ降り立つ。
ランディングは無事に成功。徐々に速度が落ちていき、数十秒後、機体はゆっくりと停止した。
瞬間、展望デッキで拍手が巻き起こる。
「バンクーバー発のオーシャンエアライン315便、ただ今無事に着陸いたしました!」
「乗員乗客ともに無事の模様です!」
リポーターの声があちらこちらから響き渡る。
(よかった……)
その様子を見ていた美羽は、その場で力が抜けてへなへなと座り込んだ。