極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

見守るすべての人が無事にランディングできることを祈り、固唾を飲んで見つめた。

(翔さん、どうか無事に帰って……)

いったんほかの航空機の離発着を止め、地上ではいつなにがあっても対応できるようレスキュー隊がすぐに駆けつけられるよう出動態勢がとられている。

機体はどんどん降下し、車輪が出たのが見えた。

ジェットエンジンの轟音がぐんぐん近づいてくる。機体が接地するまで、あともう少し。

(お願い!)

緊張に震える胸の奥で強く祈ったそのとき、キュッとタイヤの軋む音が響く。
同時に美羽の鼓動もドクンと跳ねた。

バウンドしたり左右に揺れたりすることもなく、機体が滑走路に真っすぐ降り立つ。
ランディングは無事に成功。徐々に速度が落ちていき、数十秒後、機体はゆっくりと停止した。

瞬間、展望デッキで拍手が巻き起こる。


「バンクーバー発のオーシャンエアライン315便、ただ今無事に着陸いたしました!」
「乗員乗客ともに無事の模様です!」


リポーターの声があちらこちらから響き渡る。

(よかった……)

その様子を見ていた美羽は、その場で力が抜けてへなへなと座り込んだ。
< 253 / 283 >

この作品をシェア

pagetop