極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
仕事を終え、美羽は迷わず地下駐車場へ向かった。
あのあとも翔とは話せず、事故に関する上層部との話し合いをしている彼はまだ社内に残っている。一刻も早く翔に会いたいため、彼の車のそばで待とうと決めたのだ。
昼間は春のポカポカ陽気でも日が落ちれば途端に冷え込む。地下だから余計なのか、駐車場は冷たい空気が満ちていた。
翔の車の後ろにあるポールに体をもたせかける。
会ったら、まずなにを言おう。どんな顔をしよう。
お腹の赤ちゃんにも話しかけながらソワソワ待つこと三十分。遠くから足音が近づいてきた。
首を伸ばして、足音の主を探る。
(――翔さんだ!)
わかった瞬間、車の後ろから飛び出して駆け寄る。翔が美羽に気づくより早く、彼に抱きついた。
「翔さん、おかえりなさい!」
「……美羽? なんでこんなところに?」
「翔さんに早く会いたかったから」
素直な気持ちが早くも零れ落ちていく。
いつだったか〝寂しかった〟と伝えたことはあったが、あのときは意図せずポロリと零れた言葉。自分から進んで素直な言葉を口にするのははじめてで、言った本人の美羽も鼓動が速まっていく。