極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
エンジントラブルが発生する前だろうか、窓の外に向けられたカメラは白い雲と主翼を映している。しばらくそんな映像が流れた次の瞬間だった。ドン!という音とともにカメラがぶれ、『キャーッ』という悲鳴が上がる。
『今の爆発音、なんだ?』
『すごい揺れたんだけど!? ってか、まだ小刻みに揺れてるよな!?』
『鳥でもぶつかったの?』
乗客たちが狼狽する声をカメラのマイクが拾うと同時に、衝撃の影響か頭上から酸素マスクが下りてきたため、機内はさらに騒然となる。
『機長の本郷です』
そんな中、翔のアナウンスが流れ、機内が一瞬で静まり返る。
『ただ今、大きく揺れました。原因を調査中ですのでそのまましばらくお待ちください』
アナウンスがいったん切れると、機内は再び騒がしくなる。異常な空気を察知したのか、赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。
映像を見ているだけの美羽にさえ、差し迫った感じが伝わってくる。